オランダの建築その1 - Rotterdam

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オランダ建築博物館

ブラーク駅

クンスタル

エンドラヒツプレイン駅

ビュールス駅

キューブハウス


オランダは低地あるいは埋め立て地のため地耐力に欠けること、建材としての木材や石材が不足していること、またこの国特有の合理主義などを要因として建築の分野ではモダニズムの発展が注目に値する。特に1920年〜1930年代の20年間には非常に多くの質の高い建築が実現されている。


ロッテルダム Rotterdam
ロッテルダムはヨーロッパ中で最も革新的で独創的な建築物が林立し、思わぬ所でユニークな建物やオブジェに出会うことができる街。国際資本の企業が進出し、軽く機械的な印象を醸し出す都市景観である。世界最大の貿易港としてロッテルダムの生命線になっているのは新マース川の上流から下流にかけて30数kmにも及ぶユーロポート。中心部は道路は広く、市内に通る全長約1kmに及ぶラインバーンは世界初の歩行者天国として有名。「心臓の壊れた男」は第二次世界大戦後のロッテルダムの姿を象徴している。

  • オランダ建築博物館 Nederlands Architectuurinstituut
    オランダを代表する建築博物館。設計者はJ.M.J.Coenen、1988年〜1993年。
  • ブラーク駅 Station Blaak
    キューブハウスに最寄りの地下鉄の駅。設計者はH.C.H.Reijnders、1987年〜1993年。
  • クンスタル Kunsthal
    ボイスマンス・ファン・ベーニンゲン美術館の特別展のための別館。1988年〜1992年にグループOMAが設計。堤防道路面からポルターに下る斜路と逆方向の傾斜を為す集会ホールの床面が特徴。
  • キューブハウス Kijk-Kubus
    ロッテルダムのランドマーク的な建物。1978年〜1984年にブロム P.Blomの設計により完成。直方体に骰子を斜めに載せたようなフォルムの集合住宅。
  • エンドラヒツプレイン駅 Station Endrachtsplein
    写真は地下鉄の駅内部。
  • ビュールス駅 Station Beurs
    写真は地下鉄のホーム。

オランダ近代建築の象徴的推移

近代建築の原点
オランダ近代建築の父と呼ばれる人物はヘンドリック・ペトルス・ベルラーヘ。彼により、多くの建築に関する思想、理論、造形が吸収され具体的な作品に昇華された。その後アムステルダム派とデ・スティルの2つの流れが生まれる。

デ・スティル De Stijl(1917年-1932年)
デ・スティルは様式を意味する。1917年に雑誌「デ・スティル」が創刊される。中心人物は画家テオ・ファンドゥースヴルフで、このグループには多方面の分野から多くの建築家や芸術家が参加した。建築家ではJ.J.P.アウト、J.ヴイルス、R.ファントホッフ、G.Th.リートフェルト、C.ファン・エーステレン。画家ではファン・デルレック、P.モンドリアン、V.ファッツァー。彫刻家ではG.ファントンヘルロー。デザイナーではE.L.リシツキーなど。 代表作にG.Th.リートフェルト設計によるユトレヒトのシュレーダー邸(1924年)がある。

ニューボーエン Nieuwe Bouwen(1920年-1930年代)

別名はダッチ・ファンクショナリズムとも言うモダニズムの運動。機能主義的側面を強くもち、機能的なものは美しいという考え。デ・アウト(De8)とオップバウ(Functionalism)の2つのグループを中心に展開される。

デ・アウト De8(1927年-1930年代)

1927年アムステルダムで結成された機能性を目指すグループ。代表作にヨハネス・ダウカーの設計によるアムステルダムのオープンエアースクール(1930年)がある。

オップバウ Opbouw(1920年-1930年代)

1920年にロッテルダムで結成されたファンクショナリズムのグループ。代表作にブリンクマンとファン・デル・フルーフトによるロッテルダムのファン・ネレ・ファクトリー(1931年)がある。この建物は透明性をもち機械的な設計が特徴。